技術士らしい実務経験証明書
技術士らしい実務経験証明書(地位・職名・職務内容)について考える
1. 技術士らしい実務経験証明書を考える必要性
まず「技術士らしい実務経験証明書を考える必要性」について話します。
皆さんは、技術士試験に合格するとすぐに登録申請をして技術士を名乗るはずです。すなわち「試験合格=技術士」なのです。これを踏まえて試験官は、試験を行います。試験官が考えるのは、受験生を技術士として認めてよいかどうかです。受験生が技術士と同じ仕事をしていれば、認めることになります。
すなわち技術士試験は、技術士としての実力の有無を確認する試験です。その資料の一つとして実務経験証明書があります。もし実務経験証明書で技術士らしい業務が少なければ、「もう少し経験を積んでから受験してください」となり不合格です。実務経験証明書で不合格になる人もいるのを理解して書類を提出してください。
2. 技術士らしい地位・職名について
まず技術士について考えます。技術士は、技術士法第二条に規定されている人です。すなわち技術的な指導者です。この立場が表れている表現にすべきです。
この地位・職名に課長や部長と書く人がいますが、不適切です。課長や部長は、マネージャーです。マネージャーは、マネージメントができる人であって技術的検討や指導能力の有無を問いません。極端な言い方をすればマネージャーは、技術者で無くてもかまわないのです。
すなわち課長や部長は、記載しないよりはまし程度の表現です。課長や部長と書くよりは、技術的責任者と記載してください。例えば、「設計責任者・担当課長」などです。このように書けば、技術的指導者と理解してもらえます。
3. 技術士らしい職務内容について
この職務内容は、受験条件の4年間や7年間が重要です。一般的に10年程度前までさかのぼって確認されます。過去10年間において「専門とする事項」の内容が、技術士にふさわしいかどうかを確認します。過去10年間の職務内容が、技術士にふさわしく無ければ不合格です。
技術士にふさわしいかどうかの判断は、技術士法第二条に照らして判断します。職務内容が、「専門とする事項」の技術的責任者であれば良いのです。もし技術的責任者で無いと判断されると、「技術的責任者になってから再度受験してください」となって不合格です。
また業務経験の年数も考えた内容とします。例えば、会社に入社したては、大きな仕事をさせてもらえません。ですが、入社して10年以上のベテランでは、重要な職務をしているのが当然です。逆に10年たっても重要な職務内容でなければ、「技術士にふさわしい職務内容になってから再度受験してください」となります。年数に合わせた職務内容になるように記載してください。
4. 技術的体験の説明文(レジメ)準備
平成25年度から技術的体験論文は、提出不要になりました。 その代わりに「実務経験証明書により試問」が実施されます。これは、実務経験証明書のどの部分から試問されるかわからないことを意味します。さすがに新人の頃の業務を試問しても意味が無いのでベテランになってからの業務を試問すると思います。
試問の内容は、下記が予想されます。
- あなたの立場と役割
- 業務を進める上での課題及び問題点
- あなたが行った技術的提案
- 技術的成果
- 現時点での技術的評価及び今後の展望
すなわち、今までの技術的体験論文を口頭で試問されることになります。
8月の筆記試験から十分な時間があるので、口頭試験までに理想的な 説明文(レジメ)を準備しておきましょう。
5. その他の記載について
その他としては、技術的レベルの高さをアピールする必要があります。例えば、有力な資格取得・特許・学会発表などがあれば、記載します。資格取得・特許・学会発表などは、職務内容で無いため( )記載ですが記載してください。なぜなら記載してあれば試験官が「技術的なレベルの高い人」と理解するからです。技術的なレベルの高い人であれば試験官は、安心して合格を出せるのです。
以上試験官は、記載してあることのみで合否判定します。記載して無いことは、判定しません。そのため合格に有利な事は、積極的に記載してください。
さらに高度なテクニックとしては、質問したくなるような場所を作っておくこともお勧めです。質問される場所をあらかじめ作っておけば、模範解答を事前準備できます。
6. 「受験申込書と実務経験証明書」を提出したら
「受験申込書と実務経験証明書」を提出したら次は、筆記試験対策です。今年合格する人は、すでに準備を始めています。
7. 技術士試験センターより転載した記入例
※技術士試験センターより転載した記入例